画像や動画のファイル形式

画像や動画のファイル形式は, きちんと数えると 100を超えるくらいあるのではないかと思います. ただし, 多くは古い時代のもので, 現在ではほとんど用いられなくなっています.

ここでは, この講義で利用する予定のファイル形式とよく利用されるものを述べます. ここに述べるファイル形式は, ほとんどのグラフィカルなシステムにおいて, 特に工夫なく表示ができると思います.

JPEG(Joint Photographic Experts Group)
主にディジタルカメラによる写真に利用される形式. データ圧縮率が高いが, 圧縮方式が非可逆 (圧縮データをもとに伸長したときに元データが完全に復元できないこと). ファイル拡張子は, jpeg または jpg.

PNG(Portable Network Graphics)
GIF の特許に関する部分を回避するために策定されたもの. 特許料を要求しないことが仕様の一つになっている. 可逆圧縮なので, 線画のようなものに向いている. ファイル拡張子は png.

GIF(Graphic Interchange Format)
ビットマップ画像の形式としは古いもの. 256色しか使えないが, 簡単なアニメーションを表示できる. 以前は, データ圧縮に関する特許があり, 使うのに注意が必要であったが, 現在はその特許の有効期限が切れている. ファイル拡張子は, gif または GIF

xcf(eXperimental Computing Facility)は使ってはいけない.

このファイルは GIMP というアプリケーションが内部的に利用するファイルで, GIMPあるいは それに近い動作をするアプリケーションが無いと, 表示させることができません. すなわち, この形式のデータを送っても, 受取手はすぐにその内容を見ることができない ことが普通ですし, 人によっては(スマートフォンしか持っていない人とか), 見る方法を入手できないかもしれません. 受取手に負担を与える形でのデータ送信をしないで下さい.

レポートメールで, myface.xcf を添付して来た方が何名かおられました. テキストには,「myface.jpeg」という名前で保存しろと指示があったはずです. この部分の .jpeg の文字列を読み飛ばしたから, 上のような結果になったわけです. 「人間は無意識に飛ばし読みをする」をもう一度意識してください.


上の JPEG, PNG, GIFはビットマップ形式という形の画像ファイルで, 画像自体は色のついた点の集まりとなっています. そうではなく,「図形の集まり」として画像を記述することもできます. 「例えば, (0,0), (1,1)を結ぶ半直線」とか, 「原点を中心とする半径 1の円」のような記述の集まりで 画像を表現する方法です. このタイプの画像表現のメリットは, 画像の拡大縮小に対して表示が崩れないところで, デメリットは, 複雑な画像ではデータが巨大になるところです. この形の画像形式として使い勝手が良い (特別なソフトなしに, 例えば Web ブラウザで表示できる)ものが次です.

SVG(Scalable Vector Graphics)
データ自体は, 次のようなテキストファイルからなる.
<rect x="200" y="100" width="250" height="350" fill="none" stroke="black" />
これの意味は, (200, 100) を起点に幅250, 高さ350, 塗りつぶし無し, 境界を黒の長方形を描け ということ. このような指示を続けて図形を描画させる.

動画データについても少し述べておきます. これは, Web 経由でアクセスすると, 環境によって扱いが異なることがあります. そのまま再生してくれるブラウザもあれば, データを保存して別ソフトに再生されるブラウザもあります.

MPEG(Moving Picture Experts Group)
動画ファイルの規格. 今のテレビは, MPEG 規格のデータを放送局が放送し, 受信機がそれを再生しています. つまり, 今のテレビは, 放送受信機能を持ったコンピュータです. 音声の規格もいくつかあり, 拡張子が m4a だと, MPEG の音声規格のひとつである, AAC(Advanced Audio Coding)ファイルという意味です.

2023-06-10