PC の操作で使う用語

ここでは, PC を操作する上で用いる言葉の解説をします.

デスクトップ(Desktop)
今の PC でアプリケーションが全く起動していない状態での画面全体を指します. ここには, いくつかのアイコン(Icon, 絵文字)が表示されていることが多いですが, それは, 下に述べる「Desktop フォルダ」の中にあるアイコンです. 文字通り, 机の上を模した形でコンピュータの操作をするように したのです.

ファイル(File)
コンピュータの仕事は, 突き詰めて考えるとデータ処理(計算によるデータの変形)です. また, プログラム内蔵方式のコンピュータでは, 処理手順もデータです. それらのデータは, 整理された形でコンピュータになければ, 処理が大変であるという事は容易に想像が付きます. データを整理する際のひとまとまりの最小単位が, ファイルであると考えて下さい. つまり, ファイルとは, ある特定の意味を持つひとまとまりのデータの事です. これも現実の事務作業から, ファイルという言葉をつけています. ユーザにファイルを使いやすい恰好で維持管理するのは, OSの基本的な仕事です.

フォルダ(Folder)
上記のファイルを整理するための箱のようなものです. 実生活で使用するフォルダ(見たことがある人は少ないかも知れませんが)を 模したアイコンが使用されています. フォルダの中にまたフォルダを作って, ファイルが階層化されて整理されています. UNIX(Linux)ではフォルダに相当する概念を「ディレクトリ(Directory)」といいます. この講義でも「ディレクトリ」という言葉を使いますが, 「フォルダ」の事と理解して下さい. フォルダを開いて中のファイルを見るには, そのアイコンをダブルクリックします. 最近の PC ではデスクトップにもファイルを保存出来ます. デスクトップも 1つのフォルダとなっています(後述). デスクトップには, ゴミ箱アインコンもありますが, これも一つのフォルダです.

ファイル名
ファイルやフォルダには全て名前がついており, それらの識別や利用をする場合は, その名前を用いて行います. フォルダは, 中にファイルを入れることができる, 特別な形式のファイルとして実装されています. ファイル名には, 通常の文字列が使われますが, ファイル名やフォルダ名として 使えない文字があります. その文字は, Mac や Linux だと, /, Windows だと\ (この字は, 日本語の Windows だと¥で表記)です. さらに, 使わない方が良い文字(|';<>?*, 空白など)があります.

ファイルはコンピュータの使用者が作成するだけではありません. アプリケーションやOSが動作の都合上, 手動であるいは自動的にファイルを作成し, それを利用します. その際に作られるファイルと同じ名前のファイルがあると困ったことがおきます. アプリケーションやOSが設定で使うファイルの多くは, _(アンダースコア)や.(ピリオド)で始まるので, このようなファイルを作るときは, 注意が必要です. また, これらのファイルは,「隠しファイル」となっておりますので, 通常は見えなくなっています(Finder や Explorer の設定を変えれば見えるようになる.)

拡張子
ファイルの多くは, ファイル名の最後にピリオドに続いてアルファベット 数文字が付け加えられています. 今の PC では, この数文字はこのファイルを使用する標準のアプリケーションを指定します. 拡張子を変更すると, ダブルクリックで, 思わぬアプリケーションが起動します. 逆に拡張子を変更することで, 特定のアプリケーションを起動させることができるようになります.

ファイル名は,「拡張子も含めてファイル名」となっています. 同じフォルダの異なるデータに同じファイル名をつけることは出来ません (フォルダが異なればOK). Windows では, 標準設定でファイル拡張子を 表示しない設定になっています. この時には,1つのフォルダに同じファイル名の ファイルが複数個あるように見えますが, 現実には拡張子の部分が異なっており, このような設定はあまり良いものとは思いません. Explorer の表示メニューで, 「ファイル拡張子」にチェックを入れておいてください.

ホームフォルダ(Home folder)
今の PC は, 複数人で共用することも可能なようにシステムが作られています. 一つの PC を共用する時に問題となるのが, 個人データの保護です.

そこで, 利用者個人単位にフォルダ(ディレクトリ)を作成して, 個人ファイルはそのフォルダの中だけに保存するようになっています. この個人単位に与えられたフォルダを, ホームフォルダと言います. ホームフォルダは, Mac, Windows とも, 起動ディスク (Windows. ではローカルディスク, Mac は標準的な設定だと Macintosh HD) の中の「Users」というフォルダの下に, ログイン名のフォルダがあり, それのことです. (Linux だと, 「home」というフォルダの中)

最初に述べたデスクトップにあるアイコンは, ホームフォルダにある 「Desktop」という名前のフォルダです. このフォルダは, Finder や Explorer で見ると「デスクトップ」と カタカナ表記されますが, これは, ソフトウェアがカタカナに変換して表記しており, 本当の名前は, アルファベットです.

ゴミ箱は, Mac や Linux だと,「.Trash」(ファイル名の先頭がピリオド) というフォルダです. Windows は起動ディスクの$Recycler.Bin というフォルダですが, Mac や Linux と大分扱いが違うようです.

ホームフォルダの外にファイルを保存するには, 通常, 管理者権限を要求されます. また, この仕組みにより, 「システムの動作に必要なファイルを不用意に消去できない」 や「重要なシステム設定ファイルを勝手に書き換えられない」 も実現しています.

バイナリファイルとテキストファイル
ファイルのデータは, 2進法の数に変換されコンピュータの 2次記憶装置(ハードディスクといわれる磁気円盤や SSD(Solid State Drive)と呼ばれる半導体記憶装置)に記録されます. 例えば, アルファベットの文字(Ascii code)は, 2進法で 8桁(=8 bit= 1 byte)に変換されますし, 漢字やひらがなは, 16〜24桁(=16 bit〜24bit =2 byte〜3 byte)に変換されます. ただし, 全ての 2進法の数が文字に割り当てられてはいません.

文字に割り当てられているデータだけからなるファイルを, テキストファイル(text file)といいます. この講義では, 主にテキストファイル を使います. そうではなく, 文字に割り当てられていないデータを 含むファイルを, バイナリファイル(binary file)といいます. 集合論的に考えると, 全てのファイルはバイナリファイルなのですが, 特にテキストファイルと 区別する意味で, この様な言い方をします. テキストファイルは, その内容を文字と解釈すれば, あまり工夫せずに 人間が読めるという意味で便利です. しかし, すべてをテキストファイル にしてしまうと, コンピュータの動作が遅くなったり, データ量が 大きくなったりしますので, 用途に応じて使い分けられます.

GUIとCLI
PC でアプリケーションを起動する際に, アプリケーションや書類の絵をダブルクリック (マウスの左ボタンを素早く 2回押す)することも多くあります. これらの絵(絵文字)をアイコン(icon)と呼びます. 上のような動作ができるのも, それを実行するアプリケーションが存在するからで, システムによって, そのアプリケーションは, ファインダ(Finder, Mac), エクスプローラー(Explorer, Windows), ファイルブラウザ(File browser, Linux など)と呼ばれています.

現在では, アプリケーションの操作では, マウスを使って多くの処理が行えるようになっています. またアプリケーションを起動させた際には, まずウィンドウが開き, そのウィンドウの中の絵や文字をクリックすることで, アプリケーションとのデータのやり取りを行うという 方式になっています. こうすることで, 1つのアプリケーションを使用中に, 別のウィンドウを開くことにより, 2つのアプリケーションを同時に利用することができます. また複数のウィンドウを開くことで, 異なるデータを1度に表示することも出来ます. このようなアイコンのクリックやウィンドウによる表示を主体とした操作環境を GUI(Graphical User Interface)環境と呼びます.

昔のOSでは, ある処理(アプリケーションの起動など) を実行させるために, 命令(コマンド)を文字列で指定し, 最後に ENTERキーをたたくという手法が主流でした. このような環境をCLI(Command Line Interface)といいます. (CLI 以前に, そもそも単なる個人はコンピュータを勝手に使えない, と言う時代もありました.) 現在の GUI の開発が始まったのは, 1970年代の Xerox(コピー機でおなじみのゼロックス)で, GUI を標準とした最初の PC は, 1984年の Apple の Macintosh です. それ以前は, GUI を備えたコンピュータはほとんど存在せず (Xerox の Star と Apple の Lisaくらい?), 値段も 1万ドル以上したため, PC(Personal)とは言えませんでした. (PC という言葉自体, 1980年頃にできた言葉).

マウスポインタ,カーソル
マウスを動かすと画面上の矢印の絵が動きます. この矢印を(マウス)ポインタ(mouse pointer)と呼びます. ときには, 手の絵になったり, 円の中で黒点が回転したりします. 「○○をクリックして下さい」と言ったら, マウスポインタを○○(文字やアイコン)に重ねて マウスのボタンを押すことをいいます.

文字を入力する場面では, その箇所にマウスポインタではなく, 棒の点滅が現れます. これは, アプリケーションによっては, 黒い四角だったり, 下線だったり(Windows PowerShell)することもあります. これをカーソル(cursor)と呼びます。カーソルが現れている時には, キーボードでタイプした文字が入力されます. DeleteキーやBackSpaceキーを押すと カーソルの直前や直後の文字が消せます. カーソルは矢印キーでも移動出来ます.

ドラッグ
マウスの左ボタンを押したまま, マウスを動かすことをドラッグといいます. 「××をドラッグして△△に移動して下さい」と言ったら, マウスポインタを××に重ねて左ボタンを押したままマウスを△△まで動かし, そこで指を離すことをいいます.

スクロールバー, スクロール
ウィンドウに表示するデータが多すぎてそのウィンドウに収まらないときは, ウィンドウの右端や下端に棒が現れます. これをスクロールバーといいます. スクロールバーをドラッグして動かすことをスクロールするといいます. 真ん中にローラーの付いているマウス(ホイールマウス)では, このローラーを転がしたり, 前後左右に動かすことにより, スクロール出来る場合もあります.


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2022-05-04