ホモトピー論シンポジウム

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基本情報

トポロジープロジェクトの一環として 以下の要領で研究集会を開催しますので御案内申し上げます.

この研究集会は

の援助のもとで開催されます.

日時
平成27年11月21日(土)14:00

11月23日(月)11:30
会場
姫路・西はりま地場産業センター(じばさんびる)6階 601会議室
〒670-0962
兵庫県姫路市南駅前町123番
Tel 079-289-2832
Fax 079-289-2834
プログラム
pdfファイル
世話人
佃修一(琉球大)
tsukudaATmath.u-ryukyu.ac.jp
西本哲(神戸医療福祉大学)
nishimotoATbach.kinwu.ac.jp

11月22日(日)18:30より懇親会を予定しております.

新着情報

プログラム

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11月21日(土)

14:00−14:50
鳥居 猛(岡山大)
Quasi-categories of comodules and Landweber exactness
15:05−15:55
南 範彦(名古屋工業大学)
smoothとは限らない有限次元可換ネーター環に対するSchlichting Euler類の,普遍的 refinement + generalization とその応用の可能性について.
16:10−17:00
原口 忠之(大分高専)
島川 和久(岡山大)
微分空間のホモトピー論について
17:15−18:05
吉田純(東京大)
Cubical set とその変種の統一的構成

11月22日(日)

09:30−10:20
蓮井 翔(京都大)
On the $p$-local stable cohomological rigidity of quasitoric manifolds
10:30−11:20
佐藤 敬志(京都大)
The equivariant cohomology rings of Hermitian symmetric spaces and an analogue of Monk’s formula
11:30−12:10
柳田 伸顕(茨城大)
Gamma-filtration of flag manifolds
15:00−15:50
松下 尚弘(東京大)
Hom複体が与えるグラフの彩色数の下界について
16:00−16:50
西信 洋和(高知大)
山口 俊博(高知大)
Sullivan minimal models of classifying spaces for non-formal spaces of small rank
17:00−17:50
宮内 敏行(福岡大)
Jin-ho Lee (Korea Univ.)
向井 純夫(信州大)
The 23-rd and 24-th homotopy groups of the n-th rotation group

11月23日(月)

09:30−10:20
若月 駿(東京大)
有理Gorenstein空間上のストリングトポロジーについて
10:30−11:20
内藤 貴仁(東京大)
An infinitesimal bialgebra structure on the loop homology

講演概要

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Quasi-categories of comodules and Landweber exactness

鳥居 猛(岡山大)

この講演ではスペクトラムのquasi-categoryにおけるcomoduleについて考えます。 特に、complex cobordism $MU$に付随するcoalgebra $MU\otimes MU$上のcomoduleに関して、Hovey-Stricklandの結果の類似について考えます。 そして、Landweber exact $MU$-algebraに対して、そのcomoduleのquasi-categoryは対応する形式群の高さのみに依存することを示します。

smoothとは限らない有限次元可換ネーター環に対するSchlichting Euler類の,普遍的 refinement + generalization とその応用の可能性について.

南 範彦(名古屋工業大学)

最近,Schlichting は,van der Kallen, Nesterenko-Suslin の結果・手法を用いて,rings with many units に対して sharpな homology stability の結果を得た. Schlichtingは更に それに動機づけられて,smoothとは限らないn次元可換ネーター環上のn次元射影加群に対するEuler類を定義した. 本講演では,このSchlichtingの結果と証明の概観を与える. 更に,Schlichtingの定義したEuler類をrefineした普遍的な対象を定義し,その応用の可能性についても論じる.

微分空間のホモトピー論について

原口 忠之(大分高専)
島川 和久(岡山大)

微分空間は可微分多様体を一般化した空間として知られており,任意の微分空間上でホモトピー群,特異(コ)ホモロジー群,さらにド・ラム・コホモロジー群を定義することができる [4]. さらに,微分空間の圏 $\mathbf{Diff}$ と位相空間の圏 $\mathbf{Top}$ の間には随伴関手 $(T, D) \colon \mathbf{Diff} \to \mathbf{Top}$ [2] が存在し,圏 $\mathbf{Diff}$ と圏 $\mathbf{Top}$ との関係性を調べることが可能である. 本講演では,微分空間のモデル構造について焦点をあてると共に,圏 $\mathbf{Top}$ のモデル構造との関係性について触れる.

参考文献
[2] K. Shimakawa, K. Yoshida, and T. Haraguchi Homology and cohomology via enriched bifunctors, http://arxiv.org/abs/1010.3336
[4] P. Iglesias-Zemmour, Diffeology, Mathematical Surveys and Monographs, vol.165, American Mathematical Society, Providence, RI, 2013.

(詳細はpdf ファイルをご覧下さい.)

Cubical set とその変種の統一的構成

吉田純(東京大)

CW 複体のホモトピー論と同値なホモトピー論を与えるモデル圏はいくつかあるが、その中でも cubical set とその変種に興味がある。 これらのモデル圏としての諸性質はそれぞれ独立に研究されてきた経緯があるが、本講演では、それらを統一的な枠組みによって記述する手法を紹介する。 出発点は、Cisinski による次の結果である ([1], see also [2]): テスト圏$\mathcal{A}$に対し、その上の前層の圏$\hat{\mathcal{A}}$にはモデル構造が入り、CW 複体のホモトピー論に Quillen 同値である。 小圏の圏$\mathbf{Cat}$に良い表現を持つ$\mathrm{PRO}$はテスト圏になることが示される。 このような$\mathrm{PRO}$の構成法を紹介し、cubical set 及びその変種が得られることを見る。 具体的には、古典的な cubical set と、片側及び両側接続を持つ cubical set が含まれる。 また、これらは任意の群オペラッドからの作用による対称化を考えることができ、例えばブレイドモノイダル圏の例の構成法を与えている。 最後に、このようにして得られた圏の間の Quillen 同値についても言及する。

参考文献
[1] D-C. Cisinski. Les préfaisceaux comme modèles des types d'homotopies. Thèse de doctorat de l’Université Paris VII, 2002.
[2] J. F. Jardine. Categorical homotopy theory. Homology, Homotopy and Applications, 8(1):71–144, 2006.

On the $p$-local stable cohomological rigidity of quasitoric manifolds

蓮井 翔(京都大)

Quasitoric manifolds are a topological generalization of projective non-singular toric varieties, which are $2n$-dimensional closed smooth manifolds with good $(S^1)^n$-actions. Toric topologists have considered the cohomological rigidity problem for quasitoric manifolds, that is, whether or not two quasitoric manifolds with isomorphic cohomology rings are homeomorphic. In this talk we consider a $p$-local and stable version of this problem.

The equivariant cohomology rings of Hermitian symmetric spaces and an analogue of Monk’s formula

佐藤 敬志(京都大)

We can analyze geometrical properties of manifolds with a good torus action by the GKM theory. In particular, the GKM theory says that the equivariant cohomology ring of such space is determined by the subspace consisting of fixed points and 1 dimensional orbits, and we can calculate the equivariant cohomology form this subspace combinatorially. In this talk, I show some properties of the equivariant cohomology of Hermitian symmetric spaces and an analogue of Monk’s formula which shows some of the Schubert structure constants.

Gamma-filtration of flag manifolds

柳田 伸顕(茨城大)

$p=2,3$とし$H^{*}(G;\Z/p)$の even degree generator は1個だけとします。 $KU(G/T)$のgamma filtration による graded ring を$\mathrm{gr}^*(G/T)$と書くと、 ある体$k$があり、$\mathrm{gr}^*(G/T)=CH^*(G/T)$になるだろうという話です。 ここで$CH^*(G/T)$は$k$上のChow ring とします。

Hom複体が与えるグラフの彩色数の下界について

松下 尚弘(東京大)

 単純グラフ$G$に対し,辺で結ばれている頂点では異なるように,$G$の頂点に色を与えることを$G$の彩色という. $G$の彩色に必要な色の個数を$G$の彩色数といい,$\chi(G)$で表す.
 Hom複体とは,二つのグラフ$T,G$に対して定義されるCW複体であり,${\rm Hom}(T,G)$で表す.任意のグラフ$G$に対し, $$\chi(G) > {\rm conn}({\rm Hom}(T,G)) + \chi(T)$$ なる不等式が成り立つとき,$T$をホモトピーテストグラフであるという. ここで,${\rm conn}(X)$は,位相空間$X$が$n$-連結となる最大の$(-1)$以上の整数(ただし$X=\emptyset$のときは$-\infty$とする)である. ホモトピーテストグラフの例としては,$n\geq 2$に対する完全グラフ$K_n$ (Lovász, Babson-Kozlov)や,奇数次のサイクル$C_{2r+1}$ (Babson-Kozlov)などが知られている.
 しかし$T=K_2$のときは,ホム複体の与える彩色数の下限と,実際の彩色数とが一致しない例が知られている. 特に Walker は1983年の論文において, 「任意の正の整数$n$に対し,上記の下界と,$G$の彩色数が$n$以上差がある$G$の例」 や 「${\rm Hom}(K_2,G)$-複体がホモトピー同値だが,彩色数が$1$異なる例」を発見している.
 本講演では,上の Walker の結果を,以下のように一般化することを考える. 任意の有限グラフ$T$と,彩色数が3以上のグラフ$G$,および任意の整数$n$に対して,$G$を部分グラフとして含む$H$であって,以下の二つの性質を満たすものが存在する. 一つの性質は包含${\rm Hom}(T,G) \rightarrow Hom(T,H)$がホモトピー同値であること,もう一つは $H$ の彩色数が $n$ より大きいことである. 特に任意の有限グラフ$T$に対して,${\rm Hom}(T,G)$のホモトピー不変量は$G$の彩色数の上界を与えないことがこのことからわかる.

Sullivan minimal models of classifying spaces for non-formal spaces of small rank

西信 洋和(高知大)
山口 俊博(高知大)

We observe certain rational homotopical conditions of a simply connected two stage CW complex $X$ such that the rational cohomology of the classifying space $Baut_1X$ for fibrations with fibre $X$ is (not) free and we illustrate their examples. We compute the Sullivan minimal models of $Baut_1X$ when $X$ are certain non-formal pure spaces of rank 5.

(詳細はpdf ファイルをご覧下さい.)

The 23-rd and 24-th homotopy groups of the n-th rotation group

宮内 敏行(福岡大)
Jin-ho Lee (Korea Univ.)
向井 純夫(信州大)

$n$次の回転群 $R_n$についてファイブレーション $R_{n-1}\hookrightarrow R_n\to S^{n-1}$ を用いた$R_n$の 23, 24次ホモトピー群の計算とその結果, $J$-準同型による球面のホモトピー群上の Whitehead 積の関係式への応用について紹介する.
また,[M.~Mimura: The homotopy groups of Lie groups of low rank, J. Math. Kyoto Univ.6 (1967), 131--176.]において$G_2$の23次ホモトピー群の$2$-成分 $\pi_{23}(G_2:2)$は $\mathbb{Z}_2\oplus\mathbb{Z}_2\oplus\mathbb{Z}_2$ または$\mathbb{Z}_4\oplus\mathbb{Z}_2$に同型であるかが未決定であったが, 本研究の$R_n$の23次ホモトピー群の計算結果を用いることで$\pi_{23}(G_2:2)$が$\mathbb{Z}_4\oplus\mathbb{Z}_2$に同型であることが決定できたことを報告する.

有理Gorenstein空間上のストリングトポロジーについて

若月 駿(東京大)

Chas-Sullivan[CS] は,有向連結閉多様体$M$の自由ループ空間$LM$のホモロジー群$H_{*}(LM)$上にループ積と呼ばれる積を定義した. ループ積は,「多様体のホモロジー群における交叉積」と,「基点付きループ空間の積構造から定義される Pontrjagin 積」を組み合わせたものである. その後 Cohen-Godin[CG] はループ積の一般化としてストリング作用素を定義し,$H_{*}(LM)$が豊富な代数的構造 (2 次元の位相的量子場の理論) を持つことを示した. ところが,Tamanoi[Tam] によりこれらのストリング作用素はほとんど自明であることが示された.特に,種数 1 以上の (コボルディズムが定める) ストリング作用素は必ず自明である.
そこで Félix-Thomas[FT] は,$M$を Gorenstein 空間と呼ばれる空間に一般化し,より広い範囲の空間に対してストリングトポロジーを行うことを考えた. ここで空間$M$の持つ Gorenstein 性とは,$M$の特異コチェイン代数$C^{*}(M)=C^{*}(M;\Q)$が代数的な条件$\dim_{\Q}\mathrm{Ext}_{C^*(M)}(\Q,C^*(M))=1$を満たすことで定義される. これは Poincaré 双対性を一般化したものであり,有向連結閉多様体,連結リー群の分類空間,さらにはある種の Borel 構成などを含む,空間の広いクラスである. この一般化により,種数 1 以上のストリング作用素で非自明なものが見付かることが期待されている.
しかし,現時点では非自明なものが存在するかどうかは未解決である. その主な理由として,ストリング作用素の計算が困難であることが挙げられる. 種数 1 以上で最も簡単なストリング作用素として,ループ余積とループ積の合成が考えられるが,これらの計算のためには$\mathrm{Ext}_{C^*(M^2)}(C^*(M),C^*(M^2))$のある元$\Delta_{!}$の記述が必要である. $C^*(M)$の極小 Sullivan モデルが pure と呼ばれる条件を満たす場合には Naito[Nai] が$\Delta_{!}$の記述を与えていたが,それ以外の場合には全く分かっていなかった. 本講演では,Naito の記述の拡張として,$C^*(M)$に関する条件を弱めた場合での$\Delta_{!}$の記述について紹介したい. また,その記述を用いてストリング作用素に関して得られた結果についても紹介する.

参考文献
[CS] M.Chas and D.Sullivan, String Topology, arXiv:math/9911159v1
[CG] R.Cohen and V.Godin, A polarized view of string topology, Topology, Geometry and Quantum Field Theory, London Math. Soc. Lecture Notes, vol.308, pp.127–154, Cambridge University press, Cambridge(2005)
[FT] Y.Felix and J.-C. Thomas, String topology on Gorenstein spaces, Math. Ann., 345(2009), no.2, 417–452
[Nai] T.Naito, String operations on rational Gorenstein spaces, arXiv:1301.1785
[Tam] H.Tamanoi, Loop coproducts in string topology and triviality of higher genus TQFT operations, J. Pure Appl. Algebra, 214(2010), 605–615

An infinitesimal bialgebra structure on the loop homology

内藤 貴仁(東京大)

ストリングトポロジーの理論により、有向閉多様体の自由ループ空間のホモロジー(以後ループホモロジーと呼ぶ)には様々な代数構造が発見されてきた。 基本的な代数構造として、ループ積、ループ余積と呼ばれる積、余積がループホモロジー上に定義され、それらにより2次元位相的量子場理論の構造を持つ事が知られている。 一方、Sullivanによってループ余積とは違ったループホモロジー上の余代数構造が導入された。 その余積とループ積により、ループホモロジーはinfinitesimal bialgebraの構造を持つ。本講演では、この余代数構造の(ホモトピー論的な)新たな構成方法について解説する。 またその構成方法を用いて得られる具体的計算例、余積の性質やループ余積との比較について紹介する。

交通アクセス等

交通アクセス

姫路城