元々企業における会計処理のためのソフト(ビジネス向け)として開発されました.
従って, 主な用途は会計処理であるという原則を忘れないようにするのが重要です.
- データを表形式にするのが妥当かどうかの判断をする.
-
表計算ソフトでは,「データが整列されて表示」されます.
この「整列して表示」の機能を利用するために表計算ソフトを用いることが多く見受けられます.
テーブル状のデータ表示よりも通常の文書形式(章節で文書を分けていく)の方がふさわしい
データに対しても, 無理にテーブル状にしてある文書も多く見受けられます.
見やすくデータを表示することも重要ですが, 元々のデータ(書類)にふさわしい書式は何かを,
まず考えるべきです.
- 表形式にふさわしいデータでも, 表計算ソフト特有の処理をしないデータなら,
保存形式はテキスト形式を使う.
-
HTML の table タグのときに述べたように, 例えば時間割とかは, 表形式がふさわしいデータです.
しかし, 保存するときには, テキストデータで保存すると, 他のアプリケーションでの流用がしやすくなります.
表計算ソフトは, 通常は, 単純なデータだけでなくその処理方法の内容まで込めたものを,
そのソフトウェア特有の形式でファイルに保存します. なんら処理をしない表形式のデータを
そのような特別なファイル形式で保存すると, 他のアプリケーションで使えなかったり,
使う際に変換処理が必要だったりします. 一方,
表形式を表すことができるテキスト形式のファイルフォーマットがいくつか存在します
(CSV(comma separated value)が多い. SYLK は文字コードの問題がある.
テキストファイルでもきちんとデータを整列してあれば, 読み込みは大丈夫.).
表計算ソフトでは, これらの形式でファイルを保存することが可能ですので,
特別な処理を必要としないデータや他のアプリケーションと共有するデータは,
この形式で保存します. このようにする事により, データサイズを小さくできるというメリットもあります.
- 本格的な統計処理や科学技術計算には用いない.
-
この講義では, 表計算ソフトを利用して, 簡単な統計処理の方法を述べます.
しかし, そもそも会計ソフトなので, 小数点が現れる数の計算での四捨五入や切り上げ切り捨ての挙動が,
通常の数値計算ソフトと異なることがあるようです. 従って, 表計算ソフトを用いた計算は,
本格的な数値処理ソフトの計算とずれることがあります.
また, 多機能なソフトウェアで起こりがちなこととして,
PC のリソース(resource: 資源, CPU の実行時間や 1次記憶装置, 2次記憶装置)を多量に消費し,
データ量が多いと, 動作が遅くなったり, 処理ができなくなったりします.
本格的な統計処理や科学技術計算では, 表計算ソフトを用いてはいけません.
(本格的でなく, 少量のデータで大体の事を知りたいだけなら OK.)
Subsections
SUGA Shuichi
2023-07-07