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C 言語の欠点

C言語は, UNIXの開発に際して assembly言語の代わりとなるべく 作られました. 従って, 比較的低級な言語です. と言うことは, コンピュータのハードウェアの簡単な仕組を理解していることが 暗黙に要求されたりすることがあります. また, 初期の UNIX開発のターゲットマシンだった Dec PDP-11の 機械語命令の影響を受けており, 必ずしも汎用性のある言語仕様だとは 言えない部分があります.

さらに, 1980年代には C言語に様々な方言が存在しました. これは, 初期の C言語の言語仕様がきっちりしていなかったことが原因なのですが, これを何とかしようということで, ANSIで標準化作業がなされました. (これに対して例えば Pascalは, 開発者が言語仕様をきちんと決めています. ) そして出来たのが ANSI-Cです. しかし, この標準化作業がいい格好で終わったとは言えない部分が多くあります. ということで, C言語は初心者がいきなりはじめるには不都合なところが 残念ながら多くあります.

また, 初心者にとっては C言語の言語仕様の小ささ(機能が少ない) も欠点となります. プログラミング言語としては, 言語仕様の小ささというのは 大した問題ではないのですが, 初心者には取っ付きにくいものになります. 例えば, コンピュータのプログラムを書く上で, 入出力というのは 基本的に必要なものなのですが, C言語そのものには, 入出力の仕様がありません. C 言語では, 多くの処理をあらかじめ作られたライブラリというプログラムに 任せます. ということは, このライブラリの使い方を ある程度勉強する必要があります. 講義では, この事にも気を使いたいと 思っています.



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