最速降下線問題を題材に2回の講義を行った.
最速降下線問題とは1696年にヨハン・ベルヌーイが提出した
『鉛直面内にある2点A, B(ただしBはAの真下にはなく, またAより高くはない)
を結ぶ曲線を考える. 一様な重力のもと質点が初速度0で点Aから曲線にそって
(空気抵抗や摩擦なしに)すべり落ちるとき, 点Bに到達するのに要する時間が
最も短いような曲線を求めよ.』
という問題である.
現代では変分法を用いて解かれるが, ここではヨハン本人の解答にそって, 光の屈折におけるスネルの法則のアナロジーを 用いた解法を解説した. この解法では数III程度の微積分しか用いないが, それでもこういった 問題が解けるということを通して微積分の発見当時の興奮および 微積分がいかに強力で有用なものであるかを 伝えることを意図した. 対象とした生徒は2年生で, 数IIの微積分を履修し終えたところで あったが, 技術的細部をのぞけば十分理解出来るよう注意した. また講義では取り扱うことの出来なかったより高度な内容等については, 講義ノートを配布し興味をもった生徒の学習の助けとなるよう配慮した.
具体的な講義内容は以下のとおりである.