私家版琉球大学大学院理工学研究科数理科学専攻修士論文用スタイルファイル 20240617版
目次
1. uryukyumthesis2.cls
来たるべき日に備えて 私家版 の琉大大学院理学研究科数理科の修論用スタイルファイルを BXjscls ベースにして一から書き直した (個人的に作った私家版であり 琉大公式のものではない ). 令和5年度修士論文作成要領(5)準拠.
(u)pLaTeX, LuaLaTeX, XeLaTeX で使える. 使用法は旧版(uryukyumthesis.cls)とほぼ同様. 旧版を使っているファイルの場合, documentclass を変更するだけで使えるはず.
texlive の 2020以降 での使用を想定している. それ以外の環境でも使えるはずだが, その場合はフォントを適切に設定しないと, 表紙が太字明朝体にならないかもしれない.
内部で bxjsarticle (章を使う場合は bxjsreport )を
autodetect-engine,dvi=dvipdfmx, ja=standard, a4paper,base=12pt,textwidth=40zw,number-of-lines=40, magstyle=nomag, titlepage
というオプション付きで読み込んでいる
(BXjscls の設計思想には反するが, autodetect-engine,dvi=dvipdfmx
を指定し,
エンジン((u)pLaTeX, LuaLaTeX, XeLaTeX)は自動判定されるようにしている).
旧版と違い, 1.2にあるオプション( sept
, usechapter
, notableofcontents
, noacknow
, nonewtx
, jlreq
)以外は
bxjsarticle(あるいは bxjsreport )には 渡されず,
グローバルオプションとして扱われる.
1.1. 使用法
クラスファイル uryukyumthesis2.cls を TeX のクラスファイルのある場所, あるいはコンパイルしようとする tex ファイルと同じ場所におく.
次のようにして使う.
\documentclass{uryukyumthesis2} \usepackage{amsfonts,amsthm,amssymb,amscd} % 自分が使うパッケージ \usepackage{mathtools} % をよみこむ \theoremstyle{definition} % マクロ等, 必要に応じて \newtheorem{thm}{定理}[section] \title{修士学位論文題目 \\ (明朝体18ポイント, 太文字)} \author{論文の著者} \supervisor{指導教員の名前} \etitle{Title in English} % 欧文の表題ページ等, 必須 \eauthor{Name of the author} \esupervisor{Name of the supervisor} \shusa{主査の名前} % 主査, 副査の名前と順番は指導教員に聞く. \hukusa{副査aの名前} % 副査は書いた順に表示される. \hukusa{副査bの名前} % 副査の順番が違っていると受理されないかもしれないので注意 %\hukusa{副査cの名前} % 副査が3人の場合 %% 論文審査会のページの論文題目に改行を入れたければ下記を使う % \shinsatitle{修士学位論文題目 \\ (明朝体18ポイント, 太文字)} \begin{document} \maketitle \begin{abstract} %アブストラクト, 必須 アブストラクトは日本語と英文両方書かなくてはならない. \eabstract %英文の前にこれを入れると英文用の行間になる. You must write an abstract in English. \end{abstract} \begin{acknow} %謝辞, 原則として必要 一応, 感謝の言葉を \end{acknow} \section{本文} %以下本文
いくつかの注意事項
- ファイルの文字コードは utf8 にする.
- 9月修了の場合は
sept
オプションを使う. 1.2参照. - 章(
\chapter
)を使いたいときはusechapter
オプションを使う. 1.2参照. - 論文審査会委員書名用のページにも論文題目と氏名を 自動 で記入するようになっているが,
表題のタイトルに改行を入れていても,
論文審査会委員書名用のページの論文題目の方は改行されないようにしている.
こちらにも改行を入れたい場合,
\shinsatitle{}
を使う. - 要領によると概要は和文, 英文両方で書かなくてはならない.
一般に英文の方が和文よりも行間を狭く設定する(その方が見た目がよい).
そこで
\eabstract
というコマンドを用意した. このコマンドの後は行間が狭くなり,abstract
環境を抜けるともとに戻る. 要領によると原則として謝辞, 目次をいれることになっている. このスタイルファイルでは謝辞の後に目次が 自動的に 入るようになっている.
\mainmatter
,\tableofcontents
を書く必要はない. というより書くと多分おかしくなる.概要, 謝辞, 目次はそれぞれ別ページになる.
謝辞や目次を載せたくない場合は
noacknow
,notableofcontents
オプションを使う. 1.2参照.- 要領では英文は Times フォントを使えとなっているので, そのようにしている. 2参照.
- 長さの指定をするときに
\hspace{8truecm}
のようにtrue
を付ける必要は ない.
LuaLaTex 以外のエンジンでは, 内部で
disablejfam
オプションを指定しているので 数式中で日本語フォントは使えない. 数式中で日本語を使いたい場合は\text
等を使う.LuaLaTex の場合は,
disablejfam
というのが効かないので指定していない.- 要領では論文審査会委員書名用ページ, 概要, 謝辞にはローマ数字でページ番号をふり, 目次以降は算用数字でページをふることになっているのでそのようにしている.
- タイトル等の文字の大きさは要領に従った.
文字サイズは, 要領に従い40文字×40行となるようにしてある.
欧文12pt. 和文はこれより少し小さい. これより小さくすると, 1行の文字数が40を超えてしまう. が, このサイズだと1ページに40行入らないので, 行送りを少し小さく(0.948倍)している.
- 要領では余白は上下左右全て1インチとなっている. ので, そのように設定しているが, 40文字×40行で上下左右全て1インチの余白というのは ちょっと無理があるので, 実際の余白は, 1インチより少し大きくなっている.
太字明朝体が使える設定にすると, amsthm の定理の見出しのフォントが太字明朝体になってしまうので, 内部で定理の見出しを他の見出し(節のタイトル等)と同じフォントになるように変更している.
これが気にいらない場合は,
\begin{document}
より後 に\makeatletter \thm@headfont{\sffamily\bfseries} \makeatother
のようにして変更するか,
\newtheoremstyle
とか thmtools 等を使う.
1.2. オプション
- 9月修了
sept
表紙の論文提出年月を9月にする9月修了のためのオプション.
\documentclass[sept]{uryukyumthesis2}
とすると, 1〜9月にタイプセットした場合は表紙の日付がその年の9月に, 10〜12月にタイプセットした場合は表紙の日付が翌年9月になる.
デフォルト, すなわち
sept
をつけない場合, 1〜3月にタイプセットした場合は表紙の日付がその年の3月に, 4〜12月にタイプセットした場合は表紙の日付が翌年3月になる. - 章を使うための
usechapter
デフォルトでは
\chapter
は使えない.\documentclass[usechapter]{uryukyumthesis2}
とすると, 章(
\chapter
)が使える. - newtxtextを読み込まないための
nonewtx
2参照.
(u)pLaTeX を使う場合, Times フォントを使うため, 内部で newtxtext パッケージをよんでいる. これが気に食わない場合は
\documentclass[nonewtx]{uryukyumthesis2}
とすると読み込まない.
- 目次を載せない notableofcontents
要領によると原則として目次を載せることになっているので, デフォルトでは謝辞の後に改ページし, ページを算用数字に変え, 目次を出し, 更に改ページする.
\documentclass[notableofcontents]{uryukyumthesis2}
とすると目次を載せない.
- 謝辞を使わないための
noacknow
要領によると原則として謝辞を載せることになっている. デフォルトでは
acknow
という謝辞用の環境を定義しており, その後で目次を出している. 何もオプションを指定せず, 謝辞を書かないとエラーが出るようにしている.謝辞を載せたくない場合は
\documentclass[noacknow]{uryukyumthesis2}
とすると概要の後に目次を出す. また
acknow
環境を定義しない. jlreq
試験的なオプション.
\documentclass[jlreq]{uryukyumthesis2}
とすると, ベースとなるクラスを jlreq に変更する. あまりテストしていないので不具合があるかもしれない.
2. フォント
修士論文作成要領に,
- 表紙の日本語は太字の明朝体を使用せよ
- 英文は Times を使え
とあるので, uryukyumthesis2 内部でそのような設定をしている.
2.1. 明朝体太字のフォント
修士論文作成要領に, 表紙の日本語は太字の明朝体を使用せよと指定されているので, 原の味フォント を使用し, 太字が使えるように設定している. uryukyumthesis2 内部での具体的な設定と, フォントの変更方法の一例を紹介する.
2.1.1. (u)pLaTeX
- 内部設定
deluxe
オプションつきで otf パッケージを読み込んでいる.日本語フォントについては何も設定していない. texlive2020 以降の場合, デフォルトである原の味フォントが使用される.
- 変更方法例
pxchfon パッケージを使う. 詳細は pxchfon のドキュメントを参照.
例えば, Windows 10 とか Windows 11 で游書体を使う場合はこんな感じ.
\usepackage[noalphabet,unicode,yu-win10]{pxchfon}
個々に指定する場合は
\usepackage[noalphabet,unicode]{pxchfon} \setboldminchofont{NotoSansJP-Bold.otf}
のような感じ.
2.1.2. LuaLaTeX
- 内部設定
deluxe,no-math
オプションつきで luatexja-preset を読み込んでいる. preset は何も指定していない(と原の味フォントが使われるみたい). - 変更方法例
luatexja-preset を読み込んでいるので, luatexja-fontspec も読み込まれている. luatexja-fontspec を使えば, かなり自由にフォントを変更できる. 詳細は luatexja のドキュメントを参照.
preset を指定するのであればこんな感じ.
\ltjapplypreset{hiragino-pro}
個々に指定する場合は
\setmainjfont{NotoSansJP-Bold.otf}
等.
2.2. Times
修士論文作成要領に, 英文は Times を使えとあるのでそのようにしている. セリフだけ変更するとバランスが悪い感じなので, サンセリフも変更している. uryukyumthesis2 内部での具体的な設定と, フォントの変更方法の一例を紹介する.
2.2.1. (u)pLaTeX
- 内部設定
newtxtext を読み込んでいる. セリフは TeX Gyre Termes が使われる. サンセリフは多分 TeX Gyre Heros が使われる. typewriter も変更になる.
- 変更方法例
他のものを使いたい場合は,
nonewtx
オプション(1.2照)を指定して, 自分が使いたいパッケージを読み込む.例えば,
\usepackage { tgtermes } \usepackage [scale=.92] { tgheros }
とすると, LuaLaTeX 等の場合と同じような見た目になる.
2.2.2. LuaLaTeX
2.3. 数式フォント
uryukyumthesis2 内部では数式フォントについては何も指定していない. 必要なら適宜指定する.
2.4. 数式中の和文フォント
LuaLaTex 以外のエンジンでは, 内部で disablejfam
オプションを指定しているので数式中で日本語フォントは使えない.
数式中で日本語を使いたい場合は \text
等を使う.
LuaLaTex の場合は, disablejfam
というのが効かないので指定していない.
2.5. フォントのライセンス
フォントを埋め込んだ pdf ファイルをリポジトリ等に公開するとライセンス的に問題があるかもしれないので確認した方がよい.
ちゃんと入手した(OSに付属等の)フォントを使って作った pdf ファイルを 印刷 して 紙の 修士論文として大学に提出するのは多分問題無いでしょう.
2.6. フォントの Warning
(u)pLaTeX, luaLaTeX の場合, フォントの warning が出るかもしれない. 実害は無いので, 無視してよい.
2.6.1. (u)pLaTeX
\renewcommand{\bfdefault}{bx}
というのを入れると warning は減る.
が, 副作用があるかもしれない.
\DeclareFontShape{JY2}{hmc}{b}{n}{<->ssub*hmc/bx/n}{} \DeclareFontShape{JT2}{hmc}{b}{n}{<->ssub*hmc/bx/n}{} \DeclareFontShape{JY2}{hgt}{b}{n}{<->ssub*hgt/bx/n}{} \DeclareFontShape{JT2}{hgt}{b}{n}{<->ssub*hgt/bx/n}{}
というのを書くと warning は減る.
2.6.2. luaLaTeX
Font shape `TU/HaranoAjiMincho-Regular.otf(0)/m/n' undefined
という warning が出るかもしれないが気にしない.
3. レイアウト
要領で, 1行40文字以内, 1ページ40行, 余白は上下左右1インチと指定してある.
BXjscls では, 内部で geometry パッケージを読み込んでレイアウトを設定している. ユーザが再設定するための命令が用意されているので, uryukyumthesis2 内部で, それを使い
\setpagelayout*{top=2cm,bottom=2.2cm,hmargin=1in,vcentering,hcentering,ignoreheadfoot,footskip=1cm,headsep=2em} \linespread{.948}
と指定している.
top と bottom が1インチより小さいが, 文字サイズとの兼ね合いで, 実際の余白は1インチより少し大きくなる(が, 旧版より上下の余白が狭くなっている).
文字サイズは欧文12pt. 和文はこれより少し小さい(0.924715倍). 文字サイズをこれより小さくすると, 1行の文字数が40を超えてしまう. が, このサイズだと1ページに40行入らないので, 行送りを少し小さく(40行入るぎりぎりの 0.948倍)している.
4. 旧版(uryukyumthesis)からのユーザーインターフェースの変更点
4.1. 指導教員
指導教員名を記載するコマンドを
\adviser
, \eadviser
から
\supervisor
, \esupervison
に変更した.
互換性のため, \adviser
, \eadviser
も使えるようにしている.
4.2. 副査
副査名を記載するコマンドを
\hukusaa
, \hukusab
, \hukusac
から,
\hukusa
に変更した.
旧版の \hukusaa
, \hukusab
, \hukusac
は,
source file の記載順に関係なく,
出力では \hukusaa
が一番上, \hukusab
が二番目, \hukusac
があれば三番目となっていたが,
新版の \hukusa
では, source file に記載している順に出力される.
また, 副査が4人以上になっても大丈夫(7人以上になるとレイアウトがくずれますが).
互換性のため \hukusaa
, \hukusab
, \hukusac
も使えるようにしている.
ただし, \hukusaa
は一番上に出力されるが,
\hukusab
と \hukusac
は source file の記載順に出力される.
4.3. 使われないオプション
旧版と違い, 1.2にあるオプション( sept
, usechapter
, notableofcontents
, noacknow
, nonewtx
, jlreq
)以外は
bxjsarticle(あるいは bxjsreport )には 渡されず,
単なるグローバルオプションとして扱われる.
5. 令和5年度度修士論文作成要領の抜粋
修士及び博士学位論文作成要領 1.用紙 A4判(210 x 297mm)に、縦置きで作成する。 2.表紙、背表紙 板目紙又は模造紙等を使用する。表紙、背表紙には、下記の事項を記載する。 表紙、背表紙の色は、特に指定しないが、専攻や講座によっては指定するところがあるので指導教員に確認すること。(表紙、背表紙の見本を参照する) 3.記述要領 原則として、以下によるものとする。 (1)左から右への横書きとする。 (2)各ページとも下中央に通しページ番号を記入する。ただし、表紙、標題には、ページを入れない。標題ページの次頁(論文審査会委員署名用ページ)以降をローマ数字(i,ii,iii..) とし、目次以降は、算用数字(1,2,3..)とする。 (3)本文中に図表なども含める。(図表の説明は、英文で記述するのが望ましい) (4)パソコン等を用い、1頁40行、1行40文字以内(和文の場合)で記述する。 (5)文字サイズは、10.5 - 12 ポイントで、和文の場合明朝体、英文の場合 Times で記述する。 (6)用紙は、片面又は両面を用いる。(製本時に背文字を入れる点に留意) (7)余白は、上下左右すべての余白を 2.5 cm(1インチ)とする。 4.内容項目の配列順序 論文の内容項目の配列順序は、原則として次の項目を含めるものとする。 (1)標題ページ(見本の通り) (2)論文審査会委員署名用ページ(見本の通り) (3)概要(Abstract) (4)研究関連論文業績 (Author’s Publication List)(別の学位審査に使用していない論文に限る) (5)謝辞(Acknowledgements)[(8)の参考文献の前後でも良い] (6)目次(Table of Contents)(以降、算用数字 1,2,3,,とする) (7)本文(Text)、図表(Figures and Tables)を入れる。 (8)参考文献(References)(各章の後でも良い) (9)その他(付録など)Others (Appendix etc.) 学位論文種別、論文題目、著者名、講座名(任意)、専攻名などを和文と英文で記述する。(見本の通り) 概要は、日本語と英文の両方で作成する。本文は、適当な項目に分けて記述する。 5.図や写真 図表類はパソコン等を使用して清書し、300dpi 以上の性能のプリンタで印刷すること。 図表類のキャプションは、原則として図・グラフの場合は図・グラフの下、表の場合は表の上に配置する。 図・グラフ・表等は、本文中に挿入するか、各章の終わりや本文の末尾にまとめる等見やすいように配置する。 ただし、図やグラフ及び写真の説明は英文が望ましい。 6.提出 理工学研究科規程第19条により提出する論文について、所定の期日までにファイルに挟んで学部事務室に提出すること。 正副いずれも良質の複写でよい。ただし写真は写真プリントの複製品を用いるか、良質の複写機、あるいはプリンタで作成したものを用いること。