AI との付き合い方

最近, 大規模言語モデル(Large Language Model, LLM)を利用した AI が流行しています.

AI を利用するときに注意すべきは, 出された結果が正しいか否かを判定する能力です. ここで紹介した Maple もそうですが, 完璧な結果を出さないこともあります. その結果が大丈夫なものか, 不完全なものかをチェックする能力が, 利用する側に要求されます. 特に, 最近の LLM を用いた AI では, 間違った情報をネットから学習して, 間違った結果を答えることがあるようです.


また, どのような結果を要求するのか? そのためには, どう利用すれば良いのか? というのも難しい問題です.

今回の資料で, $x^7-1=0$の 7つの根を計算させました. 一つの表示は, Maple が最初に提示した $e^{\frac{2\pi k i}{7}}=\cos\frac{2\pi k}{7}+i\sin\frac{2\pi k}{7}$, $k=0,\, 1,\ldots, 6$です. しかし, Galois(ガロア)理論を勉強すると, $x^7-1=0$の根は, ベキ根を利用して表示できることがわかります. そのためには, この資料に提示したように $\sqrt{-7}=\sqrt{7}i$を利用して, $x^6+x^5+x^4+x^3+x^2+x+1$を 3次式の積に因数分解する必要があります. ところで, 上の 6次式が $\sqrt{-7}$を利用すると 3次式の積に因数分解できることは, どのようにして分かるのでしょうか? もちろん, Galois理論を利用すればわかります. すなわち, $x^7-1=0$の 7つの根をベキ根で表そうとすると, コンピュータを利用しても, このような高度な数学の知識を要求されるのです.


上に述べたようなことは LLM を利用した AI でも同様で, AI を利用する側が AI を適切に教育しないと, 望みの結果が得られないことが起こります. 皆さんは, これから AI と付き合うことになると思いますが, AI といっても所詮機械で, 賢く利用する必要があるのです.

2024-07-06