はじめに: この講義で学ぶことなど

この講義は, 情報科学演習といいます. しかし, 残念ながら, 情報科学を教える事はできません(不可能です). 「情報科学」となると,「情報」という概念を学術的に定義し, それを分析する必要があります. それはかなり難しいことで, 大学初年級の時点で理解できる人は, それほどいません. ただし, その難しいことを過去の人類が実行したお陰で, スマートフォンで動画を見たり, ゲームができるようになった事は理解しておいてくとともに, 今も学ぶ価値のあるものです.

この講義では“Computer literacy”, つまり「コンピュータの読み書き」= 「コンピュータとネットとの付き合い方 の初歩」を講義します. 科目名としては「情報処理入門」あたりが妥当な内容です. 数理科学科の卒業生の多くは情報処理産業に就職したり, 教員になって情報科目を受け持ったり, 学校のコンピュータを管理する立場になるなど, 指導的立場になることが期待されています. そのことを踏まえて, 毎年のようにバージョンアップするコンピュータ上の ソフトの使い方を学ぶのではなく, コンピュータの仕組みを理解し, 情報処理の初歩を理解することを目標に講義します 1

情報基盤統括センターの実習室には, 皆さんが大学で利用できる PCが導入されています. 機会があれば, 使ってみてコンピュータ全般に親しむようにして下さい. 日常の手軽な情報処理機として, スマートフォンが普及しています. スマートフォンは情報を消費するには便利ですが, 本格的な処理ではコンピュータを使います. スマートフォンで見る内容も, 作る際には PCを利用しており, 「作る」という部分が, 大学の学習や社会に出た時に重要になります. 講義では, 数理科学科でのコンピュータの関わりを考えて, 次の内容にします2.

e-mail(電子メール)
ネットワーク接続された計算機の利用者間の情報交換の基本の 1 つです. この授業では, 最初に電子メールソフトの使い方と, 電子メールを利用する際に知っておくべき最低限のルールを講義します. ルール違反のメールを出さない事や, ルール違反のメール(ウィルス付きメール, チェインメール, spam など)を受け取った場合の対処の仕方も身に付けて下さい.

HTML
Hyper Text Markup Language の略で, Web ページを記述するための言語です. この授業では HTML の文法を学び, 実際に一人一人, Web ページを作成してもらいます. すでに Firefox や Safari を使用して Web ページを閲覧した経験がある人が多いと思いますが, これらは, HTML(と CSS など のスタイルシート)で書かれた言語を解釈し, そこに書かれた記述に従い, 文書や画像などを表示する機能を持ったソフトウェアです. ついでに, コンピュータを用いた文書作成の考え方も少し講義します.

Spread Sheet
基本は表計算, 即ち, 行列として与えられた数値から, 縦横の合計や平均などを計算するためのソフトウェアの総称です. 代表的な Spread Sheet としては, Apple の Numbers, Microsoft Excel, OpenOffice.calc, LibreOffice などがあります. この講義では, (特に我が国で多用されていると思われる) 表計算ソフトの間違った使い方について述べます. さらに表計算の機能を使って, 簡単な統計処理の方法を紹介します.

数式処理系
数学で行う微分積分等の計算を実行させる事ができます. 琉球大学では, Maple と呼ばれる数式処理系が, 情報基盤統括センターが管理する 実習室に導入されております. Maple の簡単な使い方を例示した資料を提供します. Maple は有償のソフトウェアですが, MAXIMA という無料ソフトもあり, ほぼ同じことが実行可能です.

上記以外には, 図書館の方による大学図書館の利用方法の講義と, 情報基盤統括センター提供のセキュリティ教材があります. これらについては, 改めて講義においてお知らせします.

この手の講義の定番であるワードプロセッサは, 取り上げません. 数学の文書を作る際にワードプロセッサを使う事がほとんどない事と, よいソフトがないからです. 見栄えの印刷だけに利用するなら, 使うのは難しくないので自習して下さい. 同じ理由でプレゼンテイションソフトの講義もしません. こちらも自習して下さい.



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2024-04-14