Computer という英語のそもそもの意味は, 計算機あるいは計算する人という意味です.
計算機, すなわち, 計算するための道具であれば, そろばん, 計算尺, 機械式計算機などがあります(ありました). 現実には, これらを用いて計算をすることは, ほとんどなくなって来ています. また, 電卓に対応する英語は, Calculator です. 現在では, コンピュータと言えば, いわゆる PC(Pesrsonal Computer)とその親戚の事を指します. この講義でも, そのようなコンピュータについての解説を行います. 講義の目標は, 使い方を知るというよりも, 付き合い方を知るという方向です.
PC は personal computer の略ですが, パーソナルでない(個人利用を想定していない) コンピュータも多量にあります. 典型的な例は, スーパーコンピュータ(super computer)です. また, 携帯電話やタブレット端末も, この講義で扱うコンピュータと同じものです. これらを用いて, Web を見たり, 電話したり, 音楽を聴いたり, ゲームをしたりしますが, これらは, 現実には「計算」を実行した結果なのです. ここでの計算は, 足し算や掛け算だけではない, 少し広い意味での計算を意味します.
この講義で扱うコンピュータは, 次の節の特徴を持つものです. 次世代の計算法の候補として,「量子計算」がありますが, 量子計算の事も述べません.
今のコンピュータの仕組みを, 歴史的な発展とともに, 比較的詳しく解説してある書籍として, 次があります.
Raspberry Pi で学ぶコンピュータアーキテクチャ,500ページを超える大著で, 値段も 4200 円しますが, 歴史を含めて, 今のコンピュータの成り立ちを丁寧に解説してあります. Raspberry Pi とは, タブレット端末からタッチパネルを取り去ったような 教育用コンピュータで, それに, 電源やキーボード, マウス, モニタ(地デジテレビをモニタにも使える)を足すと使える, 5000円くらいの手のひらサイズの機械です(とは言え, この講義の内容は, 全て簡単に実行できます). 上の本は, Raspberry Pi は あくまでも例として利用しており, 今のコンピュータがどのようなもので作られているかが, 詳しく書かれています. 歴史の部分を読むと, 例えば, 初代ウルトラマンの科学特捜隊本部の コンピュータが, あのように描かれている理由も, 少しわかります.
E. Upton, J. Duntemann, R. Reberts, T. Mamtora, B. Everard 著,
宮下健輔, 坂下秀監訳, 株式会社クイープ訳, オライリー・ジャパン, 2019年
興味のある方は, 何かの機会に, 上の本を読んでみてください. Raspberry Pi(ラズベリーパイ)は, 日本では, ラズパイと略されてます. こっちも, ネットで調べてみてください.
2022-04-27