定理の符号が異なるとき, すなわち,
ならば,
を満たす実数
が,
の間に少なくとも1つ存在する.
この定理を利用して, 方程式の近似解を求めるのが 2分法です.
関数 は, 区間
において連続で,
を満たすとします.
また, 方程式
はこの区間でただ 1つの解をもつと仮定します.
このとき, 区間
の中点を
とすると
の値は 0となるか, または
のいずれかと異符号となります.
ここで, なら
は方程式の解であり,
なら, 方程式は区間
に解をもち,
なら, 方程式は区間
に解をもちます.
このように, 区間の中点を考えることにより,
解の存在する範囲を初めの半分に縮小することができます.
そして, この操作を繰り返すと,
誤差の限界を必要なだけ小さくした近似解が得られます.
double 型の計算機イプシロンが ですから,
52回くらい繰り返すと, 計算機の精度を越えます.
このようにして近似解を求める方法を2分法といいます.
一般に, 方程式 の近似解を, 誤差の限界が
として
2分法で求める手順は次のようになります.
上の(3)において, のとき,
変数
の値をこのようにおき換えると,
となり.
真の解
は区間
にあります.
またこのとき,
の値は
か
に等しいから,
となり.
を近似解としたときの誤差の限界は
となります.
従って, (4)で誤差の限界が判定されます.
方程式 が区間
で3つの実数解
をもち,
とする.
を
と
の中点として 2分法を適用すると,
第 2段階以後区間
は無視されて,
区間
にある解だけを近似することになります.
このように, ある区間で方程式が 2つ以上の解をもつ場合,
2分法で近似解を求めると, 1つの解以外は無視されます.
また, 例えば, 方程式
の重解 1の近似値は, 2分法では求めることが
できません. 従って, 2分法を適用する場合, あらかじめ解について定性的に
調べておくことが必要です.